そりゃ思い出してなくても、今の俺からお茶に誘われたら、普通はことわらない。顔、身体、服装とか全部をこの人の好みになるようにしたからだ。
「では次の階で乗り換えますね」
と言いながら次の階(何階かはよく見てない)のボタンを押す。
チン!ウィーン・・・
ちょうど横のエレベーターも開いた。
この階で止まったらしい。
さっさとそれに乗り目的のボタンを押す。
・・・少し軽い沈黙が続いた。だが、それに耐え切れず少し悪戯心がわいてきた。
「そういえば、あなたは何で下に向かっていたの?」
「・・・友達と待ち合わせてて・・・」
あ、この人全然ダメだ。こんなんじゃ女逃げてくよ。
「じゃあ、その人に連絡でもしたら?」
「・・・ああ・・・スマン」
悩みながらメールを打ってる。
この人暗号文作るのそこまで得意じゃないのかな・・・。
『アーンインストー・・・』
エレベーター内に某アニメの曲が流れる。俺のケータイからだ。
やっと打ち終わったみたいだ。
俺はケータイを取り出しながらボタンを押した。メールではなく、電話だと思わせるために。
「はい・・・ああ真知子さん?・・・」
もちろん真知子という人物など向こう側にはいない。ただ、無音の空間が広がるだけ。
「ごめんなさい、今久しぶりに会えた方がいらして・・・ごめんなさいね。ではまた後日・・・」
と言って、もう一回ボタンを押し、ケータイをしまう。
・・・海津さん、やっぱ悩んでいるようだ。
チン!ウィーン・・・
目的の階に着いた。
「こちらに私の部屋があるんですよ。」
と言いながら部屋に案内し、誰もいないのを確認した後ドアを閉め、鍵をかける。
「ご利用ありがとうございます。情報屋"Bamboo And Mashroom"です」
「・・・やっぱりお前だったのか・・・。たまにはまともな登場できないのか?」
「仕事ですので・・・」
ため息をついている。・・・少し期待してたみたいだな。
「・・・では御商談に移りましょう。今日はどういったご用件で?」
「ああ、実は・・・」
言いかけた瞬間、ドアが勢いよく吹っ飛んだ。
そして男が二人入ってきた。二人とも片手に銃を持っていた。
すぐに銃口がこちらに向けられ、引き金が絞られる。
パリ、ガシャ・・・
きれいな部屋が壊されていく。二人の男によって。
俺はギリギリよけれたからいいけど・・・海津さん、どこだ?
俺は周囲を見渡してみる・・・いた。そう思った瞬間だった。
血が飛び散った。新鮮で鮮やかな赤色の血が。
その血の持ち主は・・・間違いなく海津さん。
体はもう動いてない。・・・死んだな。
はぁ・・・せっかく久しぶりの仕事だと思ったのに・・・。
「・・・おい、確かもう一人ここにいなかったか?」
「いたな。そいつ、見つけたら海津と同じようにしちまうか?」
「ああ、何か海津から聞いたかもしれねぇからな」
・・・俺も殺すってことね。でもこんなオモシロイとこで殺されるのは嫌だな。
コイツら、そこまで腕の立つ連中でもなさそうだし・・・。
俺の武器で何とかしますか・・・。
まず自作小範囲水素爆弾を・・・投げる。
ボン!・・・まぁ中身入ってないから音だけだな。
「!?な、何が起きた?」
隙有りすぎ。こんな奴がなんで人殺しに来るんだろうね。
「ジャアネ」
と一言つぶやき、いつの間にかとりだしていた銃の引き金を引いた。
・・・一人は倒れた。頭から血を噴き出して。だがもう一人は・・・大丈夫なようだ。
「テメェ何しやがるんだ!!」
うわ、キレちゃったね。・・・ってもう撃ってきてるし。
銃撃戦ってヤダね。弾ムダに使うし。はぁ・・・。

――入口に人の気配を感じた。


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